加根よしきの 令和2年度 東広島市議会第3回定例会 一般質問

【全  文】


午前10時59分 再  開
○議長(乗越耕司君) 再開いたします。
 引き続き一般質問を行います。
 20番加根佳基議員の一問一答方式による一般質問を許します。
◆20番(加根佳基君) 議長、20番。
○議長(乗越耕司君) 20番加根佳基議員。
◆20番(加根佳基君) (登 壇)
 皆様、おはようございます。公明党の加根佳基でございます。まずもって、コロナ禍で奮闘されておられます医療従事者の方々をはじめ、多くの市民の皆様にはコロナ対策に大変な協力をいただき、心から感謝を申し上げる次第でございます。一日も早い終息を願うばかりでございます。
 さて、僅か2年間の間で、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水被害、土砂災害が発生し、死者数が200人を超える甚大な災害が発生いたしました。我が東広島市においても、全域に及ぶ被害を生じ、中でも河内町では土石流が砂防ダムを越えて集落を襲ったこともついこの間のように思います。
 今年に入ってからも相次ぐ災害が発生しております。7月には河内町宇山で裏山が崩れて土砂が流れ込み、2人の貴い命が失われました。本当に残念でなりません。
 本当、この2年足らずの間で、次から次へと相次いで様々な災害被害が発生しております。自然災害はいつ発生するか分かりません。そのためにも日頃からしっかりとした備えがいかに必要であるか、改めて感じているところでございます。
 それでは、議長より発言の許可をいただいておりますので、順次質問に入らさせていただきます。
 まず初めに治山行政について、治山事業の進捗について伺いたいと思います。
 治山ダムの現状と今後の取組について伺います。
 本市管内の治山ダムについて、最近の豪雨被害を受けて、市民の方より不安の声をいただいております。このことについて現在対応していただいておりますが、残念ながらまだ解決には至っておりません。相当な時間がかかるものと思われます。国・県事業ではありますが、市民の皆様に知っていただくためにも、今回あえて質問をさせていただくことにいたしました。
 砂防ダムと治山ダムの違いはなかなか分かりづらいものと思います。そこで、簡単ではありますけども、若干ではございますが、説明させていただきます。
 砂防ダム事業、治山ダム事業については、その事業の取組自体、目的が違いまして、違いがあります。砂防ダムは、土砂の生産を抑制して、流れ出る土砂を調整し、せき止めをいたします。一方で、治山ダムは、水源涵養、土砂流出防止、土砂崩壊防備などの山が持っている機能を補完するためのものであります。つまり、土砂災害に対して、砂防ダムは下にある人家などの保全対象に影響が及ばないように設置するものであり、治山ダムは土砂災害の発生源となる森林自体を強化し、土砂災害を防止することを目的としております。治山事業は文字どおり「山を治す事業」、つまり山を保全するための事業を行って、健全な山へと導く事業であります。本市においては、700か所程度設置されていると伺っております。
 さて、これら事業については、国、県による取組事業でありますけども、本市として、国、県だけに任せておいてよいものだろうか、考えさせられます。皆様も御存じであるかと思いますが、砂防ダムは国土交通省の所管であり、先日の中国新聞にも広島県内の現状況の記事が掲載されておりました。一定程度整備されていることが分かりました。
 しかし、治山ダムについては農林水産省所管で、先ほど説明させていただきましたように、自然の山の環境を取り戻すために、さらには災害に強い森林の再生を目指して、施行されている事業であります。本市管内の治山ダムについては、現在どのような状況になっているのか全く分かりません。
 ここで現場の写真を御覧いただければと思います。治山ダムの現場の写真の一部で、市民の方から相談を受けた現場の状況でありますけども、老朽化して、若干分かりづらいと思いますが、ここには銘板が刻まれておりまして、施行年度、昭和43年度、事業名、予防治山事業、施行主体、広島県等々と刻まれております。昭和43年につくられたものなのですが、健全な山とは言えません。森林の再生には程遠く、ダムそのものとなっています。全く本来の目的に至っていないのがよく分かります。このような状況であれば、少しの雨量でも堆積した土砂が流出するのではないかと思います。
 さらに、別の現場である河内町の戸野にあります治山ダムの状況であります。ここの現場では、先ほどのような雨水はたまっておりません。土砂が堆積しているのがよく分かります。治山ダムについてもっと詳しく言えば、先ほど説明しておりませんでしたけども、治山ダムの特徴ですけども、機能と効果を目的とするため、施工完了のとき、あえて満砂状態にさせているのも大きな特徴であります。長年経過していても、全く森林の再生には至っていないことがこの写真でよく分かります。さらには、ここでの問題点は、少量の雨水でも、堆積した土砂を抱き込み、ダムから下側にあります農家の圃場に、直接その流出土砂が流れ込み、被害を受けていることであります。
 次の写真を御覧ください。水田に多くの土砂が流れ込んでおります。さらにこの水路、その面を幾つかの田んぼがこのような状況になっているんです。この1か所ではないわけでございます。このような状況を見て、皆さん、ほっとかれますでしょうか。
 昨日の岡田議員の質問の中に、農家の方の収入をしっかりと向上させるんだという執行部側の御答弁があったと思いますが、まずこういった被害を少しでもなくすことが極めて大事ではないのかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 このような状況であることから、今現在、早急な対策を要請しております。そこで担当者の方からは、しゅんせつ計画を進めていくとのことでありました。
 さらに、この治山ダムから流れ込んできたその土砂が、配管を詰まらせております。県道33号線を横断している暗渠配管でございます。これも土砂で詰まらせていると、こういう現状でございます。
 本市管内にはこのような森林が再生されていない危険度の高い治山ダムが至るところにあるのではないかと懸念しております。
 本市は、平成30年7月豪雨災害復旧・復興プランには、2,700か所を超える山腹崩壊が確認されており、治山対策として、国、県と連携し、早急に治山事業を進めますと記されております。さらに、計画プランには、具体的に平成30年豪雨災害における二次災害防止として、治山施設緊急点検を行い、災害関連緊急事業の実施と治山事業(激甚災害対策特別緊急事業等)の実施、さらに、小規模崩壊地復旧事業等の実施を計画されております。
 そこで、お伺いいたしますけども、1点目に、管内700か所程度中、正常に復帰した治山ダムはあるのでしょうか、伺います。
 2点目に、治山事業の進捗について、各事業等の実施計画は2023年までとされていますが、現在どのぐらい進んでいるのか伺います。
 3点目に、危険度の高い治山ダムの箇所と、その整備についての今後の取組を伺います。
 最後4点目ですが、治山ダムの防災上の管理はできているのでしょうか、伺います。
 次に、森林及び里山の保全について伺います。
 森林環境の保全及び整備の促進について伺いたいと思います。
 国では、平成30年5月25日、新たな法律である森林経営管理法が可決・成立いたしました。新たな法律は、平成31年4月1日に施行され、森林経営管理制度がスタートしました。国内の森林は、戦後や高度経済成長期に植栽された杉やヒノキなどの人工林が大きく育ち、木材として利用可能な時期を迎えようとしています。利用可能な森林が増える中、国内で生産される木材も増加し、木材自給率も上昇を続け、平成29年には過去30年間で最高水準となる36.2%となるなど、国内の森林資源は、切って使って売れるという森林を循環的に利用していく新たな時代に入ったと言えます。
 一方、我が国の森林の所有は小規模分散的で、長期的な林業の低迷や森林所有者の世代交代等により森林への関心が薄れ、森林の管理が適切に行われない、伐採した後に植林されないという事態も発生しております。83%の市町村が管内の民有林の手入れが不足していると考えている状況であり、森林の適切な経営管理が行われないと、災害防止や地球温暖化防止など、森林の公益的機能の維持増進にも支障が生じることとなります。加えて、所有者不明や境界不明確等の課題もあり、森林の管理に非常に多くの労力が必要となるといった事態も発生しています。
 このような中、適切な経営管理が行われていない森林の経営管理を、林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行うことで、森林の経営管理を確保し、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図ることとしています。
 そこで伺いたいと思いますが、本市における取組ですが、森林管理経営法に基づき、経営管理が適切に行われていない森林について、適切な経営や管理を確保するため、森林管理マスタープランを策定するとありますが、そのプランの進捗を伺います。
 以上で、1回目の質問を終わります。
○議長(乗越耕司君) 答弁を求めます。
◎市長(高垣廣徳君) 議長、市長。
○議長(乗越耕司君) 高垣市長。
◎市長(高垣廣徳君) (登 壇)
 加根議員の御質問に対しまして、私からは森林及び里山の保全について御答弁を申し上げます。
 東広島市森林管理マスタープランにつきましては、森林整備に携わる多様な担い手や地域特性を生かした本市の長期的な森づくりや施業方法に関する方針を作成するとともに、森林経営管理法に基づく放置森林の整備や森林環境譲与税を活用した具体的な計画等を定めることで、地域の実態に即した森林整備を促進することを目的に策定するものであります。
 プラン策定の進捗状況につきましては、本年7月から広島県、市内森林組合及び森林ボランティア団体等を委員とした検討協議会及び森林に関わる立場に応じた作業部会を立ち上げ、現在、本プランの根幹となる基本理念及び基本方針を取りまとめるに当たり、本市における森林の現状を踏まえた課題の抽出と課題の整理を進めているところでございます。
 今後は、森林所有者及び市民への意向調査を行い、結果を適宜プランに反映しながら、骨子や素案の作成などを経て、年度内にプランを策定することとしております。
 他の質問に対しましては、担当説明員より答弁をいたします。
◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) 議長、災害復旧担当理事。
○議長(乗越耕司君) 阪垣災害復旧担当理事。
◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) (登 壇)
 私からは、治山行政について御答弁申し上げます。
 本市の森林面積は市域の60%を超えており、緑豊かな自然環境に恵まれておりますが、平成30年7月豪雨においては、県内で最大規模の山地崩壊が発生しました。
 本年も大雨に襲われたことから、災害に強い森林の再生を目的とする治山事業の重要性は、ますます高まっていると認識しております。
 こうした中、治山行政に関する御質問を4点いただきました。
 まず、管内中、正常に復帰した治山ダムについてでございます。
 治山ダムなどの治山施設は広島県が管理する施設で、谷に土砂をためて森林を維持する治山ダムが650基、水の流れを固定し浸食を防ぐ護岸工・流路工が75基整備されております。
 そのうち、正常な復帰、すなわち森林が再生した箇所につきましては、構造物に異常のないものや、軽微な損傷・劣化程度のものが514基と聞いておりますので、森林再生としての直接的な評価ではありませんが、全体の7割程度で治山施設の機能が維持されているものと理解をしております。
 次に、治山事業の進捗についてでございます。
 現在、林野庁及び広島県と連携して、災害復旧・復興プランに掲げる4種類の事業を進めております。
 治山施設の緊急点検につきましては、県の事業で、723基の点検が終了しております。
 治山施設を整備する災害関連緊急事業につきましては、国及び県の事業で、計画25か所のうち、施工中23か所、完了2か所となっております。
 一連の地域で治山施設を集中的に整備する激甚災害対策特別緊急事業につきましては、県の事業で、計画52か所のうち、施工中5か所となっております。
 家屋の裏山の崩壊を防ぐ小規模崩壊地復旧事業等につきましては、市の事業で、災害発生前から継続的に年間2件程度を実施しているところでございます。
 次に、危険度の高い治山ダムについてでございます。
 広島県が実施した緊急点検において、対策が必要と認められたものが210基判明したことから、異常堆積した土石や流木の除去などを行う機能強化事業が進められており、現時点で34基工事が完了しております。
 最後に、治山ダムの防災上の管理についてでございます。
 治山ダムの管理につきましては、広島県において、5年に1回の定期点検のほか、豪雨災害を受けての緊急点検を実施されており、構造物の強度や安全性の確認による管理をされているところでございます。
◆20番(加根佳基君) 議長、20番。
○議長(乗越耕司君) 20番加根佳基議員。
◆20番(加根佳基君) まず、治山行政についての治山事業の進捗状況について、4点の質問について詳しく御答弁いただき、ありがとうございました。
 治山施設は、御答弁にもありましたように県の事業でありますので、当然県に伺っての御答弁でありました。進捗については、取組数及び完了数等々数値で現状況がよく分かりました。さらには、かなりボリュームのある取組であることも併せて理解をさせていただきました。
 市の事業でもある小規模崩壊地復旧事業についても、年2件程度の取組になっております。県、市におけるこれらの取組については、全体的な進み具合が、私自身個人的な思いなんですけれども、若干スピード感がないようにも思えてなりません。防災上の管理も併せてそういうふうに感じております。
 比べてはなんなんですけども、別部署では危機管理の観点から、あるいは市民の要望に対し、しっかりと目標を明確にして着実に進められ、本当に本気度の高い取組姿勢が伺われる部署もあります。逆に、残念ながら山に関しては、これまでそれほど重きを置くことなく、極端に言えば、忘れられている存在でもあったのかなというふうに思うわけでございます。
 治山事業としての取組は極めて奥が深いと私は思います。東広島市の将来に対する安全安心、そして全体の環境の将来を左右する、真にSDGsのその理念につながる極めて重要な取組だと私は思います。山全体として、もっと積極的に取り組む必要があると思うわけであります。
 そこで伺いますけども、今後この山を強靭化し、どう守っていかれるのか、そのお考えをお伺いいたします。
◎産業部長(鈴木嘉一郎君) 議長、産業部長。
○議長(乗越耕司君) 鈴木産業部長。
◎産業部長(鈴木嘉一郎君) 今後、山をどのように守り、強靭化していくのかについてでございます。
 現在、先ほど答弁させていただきましたとおり、本市の長期的な森づくりの方針ということになります森林管理マスタープランを策定中でございます。その中で、国から譲与されます森林環境譲与税、そして県営治山事業、広島の森づくり事業などを活用させていただきまして、森林の適正管理に向けた取組を計画的、効果的に進めることで、地球温暖化でございますとか、あるいは山地災害の防止に貢献する森林を整備するということで、本来の山が持つ保水力、山の力、そういったことなどの多面的機能を発揮することによりまして、山の強靭化につなげてまいりたいというふうに考えております。
◆20番(加根佳基君) 議長、20番。
○議長(乗越耕司君) 20番加根佳基議員。
◆20番(加根佳基君) 本当に、かなり辛抱強く取り組む必要があると思うんです。もういろんな関連機関とのしっかりとした連携の中で、本当に一丸となった取組がここでは必要かとは思いますので、どうかプランも含めて着実に進めていただければと思います。期待しております。
 次に、一つは提案なんですけども、島根県が今、山に対しての取組をされている事例がございました。島根県は、関係機関と合同で、秋の一斉地域の森パトロールを実施したとあります。内容は、施設の点検に合わせて、近隣住民の方にチラシを配布し、日頃からの備えと万が一の際の早めの避難を呼びかけながら、年2回のパトロールを行われていると聞き及んでおります。実際に実績として島根県はあります。
 本市においても、定期的な治山ダムのパトロールは、関係者との連携の中で必要ではないかと思いますが、事前の予防、災害の起きる前の対応として、極めて必要だと思いますが、いかがか、お伺いいたします。
◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) 議長、災害復旧担当理事。
○議長(乗越耕司君) 阪垣災害復旧担当理事。
◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) 島根県の事例を御紹介いただきました。
 島根県の事例の特徴といたしましては、県、市、それから森林関係団体、広く森林関係の皆様が集まられていろんな取組をされているというところに大きな特徴があるではないかというふうに受け止めておりまして、そのような取組は、森林管理マスタープランの実行や本市SDGsのグローバル目標の実現にも資するものと認識をしております。
 したがいまして、森林保全という枠組みの中で、森林関係の皆様が一堂に集まっていただけるような何らかの取組を検討してまいりたいと考えております。
◆20番(加根佳基君) 議長、20番。
○議長(乗越耕司君) 20番加根佳基議員。
◆20番(加根佳基君) ありがとうございました。まさに本当に、全員が一丸となっての取組が本当に必要だと思います。本日の御答弁が今後の治山行政、森林行政にしっかりと反映されることを期待し、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
○議長(乗越耕司君) これをもって、20番加根佳基議員の一般質問を終わります。
 暫時休憩いたします。
                             午前11時28分 休  憩